「坊主丸儲けって聞くけど、実際はどのくらいの年収なの?」
「お坊さんってボーナスとか昇給あるの?」
お坊さんの仕事は、求人サイトでなかなか見ないからか、どのような仕事か気になるでしょう。
この記事は、実際にお坊さんとして7年近く働いていた僕の月収や年収を公開したものになっています。
そして、お坊さんとして昇給する方法や、就職先の見つけ方を紹介します。
お坊さんの平均年収
古くから「坊主丸儲け」と言われています。
巷でも「あそこのお坊さんは外車に乗っている」と耳にする程です。
では本当に、お坊さんが高級車に乗れる程の高収入なのか、実体験をもとに紹介します。
統計から見るお坊さんの平均年収
統計から見るお坊さんの年収は、イメージに近い数字になっています。
以前、Twitterでアンケート募集をした結果を共有いたします。
では、統計上から見るお坊さんの年収を、いくらか見てみましょう。
厚生労働省「令和3年度賃金構造基本統計調査」では、以下のような統計が出ています。
平均年収 | 535万円 |
平均月収 | 36万円 |
平均年齢 | 46歳 |
労働時間 | 169時間/月 |
平均年齢からわかるように、ミドル世代(35歳〜54歳)の収入が大きく反映されています。
そして、ツイートで集めた「イメージする年収」と統計を見比べても、割と高額で「安定的な収入がある仕事」と思われている方が多い印象です。
では実際に、お坊さんの収入は、いくらなのか。
20代はずっとお坊さんとして仕事をしていた、僕の体験談をもとに紹介していきます。
実際のお坊さんは安月給
厚生労働省の最新の初任給調査「令和3年賃金構造基本統計調査結果」を見ると、大卒(男女計)の初任給は22万5,400円と掲載されています。
しかし、僕の初任給は7万円でした。
寮生活をしていたため、生活費は免除されました。
現在、大阪市内で1人暮らしをしていますが、自由に使える金額を比べると、大差ないように感じます。
1年の研修期間(試用期間のようなもの)を終えると、月収は約15万円で倍になります。
この時の変化は、寮生活からアパート暮らしになったことです。
家賃はお寺で支払っていただいていましたが、食費や光熱費などは、実費になりました。
いくら収入が倍になったと言えど、自由な時間が増えた分、出費も多くなります。
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ちなみに、正月やお盆は繁忙期になります。
繁忙期には、ボーナスという名の残業代が支給されますが、プラス5万円もらえたら良い方でした。
お坊さんだからこその支出
外車に乗れるお坊さんは、ごくわずかです。
なぜなら、社会人以上にお金が動いているからです。
ビジネスマンにはスーツ、お坊さんには法衣といった具合に、お坊さんにも制服があります。
一式揃えると、ピンキリですが安く済ませても20万円はかかります。
そして、クリーニング代には1着最低でも1万円がかかることがほとんどです。
また、所属している宗派(浄土宗や天台宗などの総称)にもよりますが、所属団体への納税があります。
所属宗派への納税額は、僧階(僧侶の階級)によって、納税額が変わります。
ちなみに僕は、年間で約7万円、納税していました。
お坊さんとして昇給する方法
お坊さんの仕事で昇給することは、ほとんどありません。
その代わり、お坊さん業界は「つながり」を大事にしているので「単発のお仕事紹介」が頻繁にあります。
そのため、本業で在籍しているお寺(職場)での昇給を期待するよりかは、お仕事を紹介してもらうことで、収入を上げられます。
具体的な昇給法について、順番に解説していきます。
研修機関に入り資格を取得する
資格を取得しておくことで、お仕事の幅が広がります。
実際に僕も、説法のプロとして認定された後は
うちの寺でゲストとして説法をしてもらいたい
と、お声がかかることがありました。
実際の報酬額は、お寺の規模や説法する所要時間にもよりますが、平均的に1万円〜3万円の報酬がありました。
転職時に使う「履歴書」をイメージしてみてください。
資格があると有利なこともありますし、求人票によっては資格が必須になっている職場もあります。
お坊さんの年収も、資格の有無で大きく左右します。
ちなみに、ほとんどのお寺が月給制なので、仮に本業の職場を休んでも、休日にあてることで、減給の影響なく、言わば副業ができます。
大きなお寺で役職になる
こちらに関しては、一般的な職場と大差ありません。
実際に僕も、営業職に就いていた頃にSV(スーパーバイザー)としてメンバー管理をしていました。
その際の収入も、基本給とは別に「役職手当」があります。
皆さんの職場でも、昇格と同時に年収のアップもあるかと思います。
ただこちらに関しては、大きなお寺に限ります。
小規模なお寺の場合、住職(会社でいう社長)だけで切り盛りしている場合がほとんどです。
その反面、大きなお寺は住職以外に複数のお坊さんを雇っているのがほとんどです。
在籍人数が多ければ多い程、役回りが必要不可欠になり、役職付きになると昇給できます。
お坊さんのボーナス事情について
お坊さんにボーナスは、ほぼありません。
民間企業ですと、会社によっては、夏と冬にボーナスとして月給の2ヶ月分が支給されると思います。
対してお坊さんは、お盆と正月が繁忙期になるお寺がほとんどです。
僕がこれまで勤めてきたお寺のケースをお伝えすると
A寺 | ボーナスという名の3万円〜5万円の特別支給 |
B寺 | ボーナスとして月給の1ヶ月分支給 |
C寺 | なし |
といった内容でした。
お寺によって、繁忙期が異なるので、世間と一緒でないことが多いと認識しておく必要があります。
お坊さんの就職方法
世間的に見たら「坊主丸儲け」と言われるように、安定職に見えると思います。
ここまで紹介した通り、収入面で見たら、民間企業と変わりません。
とは言え、お坊さんは正社員雇用がほとんどです。
実際に僕も、正社員で雇用されたことしかありませんでした。
クレジットカードや賃貸物件などの審査にも大きく影響する雇用形態と言えるでしょう。
では、ここからは実際にお坊さんになり、就職するには何をしたら良いのか紹介していきます。
師匠の紹介
一番手っ取り早く就職できるのが、師匠の紹介です。
大前提、お坊さんになるには、どこかのお寺の住職に「弟子にしてください」とお願いし、了承してもらう必要があります。
師弟関係が結べたあとは、申請書類がたくさんあります。
そして、その申請書類を役所のような所へ提出し、受理されるまでは何もできません。
僕も師匠のもとで7年修行しました。
そして大学卒業前に、師匠も面識のあるお寺に就職が決まりました。
実は、僕の場合は特殊で、毎月通っていたお寺の役員から声がかかったのです。
しかし、大半の方が師匠の紹介で就職先を決めます。
実際に僕の修行同期も、全体の8割は師匠の紹介で、就職先を決めました。
紹介がなかった方は、基本的に師匠のもとで雇用され、給料をもらい、生計を立てるようになります。
お寺に求人票はない
転職サイトやエージェントを活用し、転職ができる現代ですが、お寺に求人票はありません。
なぜなら「人が足りている」点にあります。
ほとんどのお寺が住職と、その息子で切り盛りができます。
そうなると、兄弟でお坊さんになった家庭があると、次男は働き先がなくなります。
結果的に、働き先のないお坊さんが大きなお寺で勤めることが多いです。
では、なんとか紹介してもらい就職した先で、社内の環境や仕事などが納得できず、転職を考えた場合、どうすれば良いのか。
それは自分を売り込む営業活動しかありません。
忙しそうなお寺に自分を売り込む
お坊さんも人間なので、嫌なことは当然あります。
実際に僕も、お坊さんとして働いている頃、2回転職をしました。
その転職、全てがヘッドハンティングでお声をかけていただき、転職をしています。
最初に就職したお寺も、お坊さんになる前に通っていたため、役員からも
うちのこと、よく知ってるだろうから、話早そうだし働くところないなら、来てよ
とお声がありました。
2つ目の就職先は、僕が説法のプロになるために入った研修期間で知り合った方のお寺です。
柴﨑くんが働きやすい環境、整えておく!
元々長い付き合いのあったお寺に「スキルアップしたい」と打診し、納得いただいた結果、転職したお寺でした。
実際は環境が悪く、残業も多かったので転職しました…笑
3つ目のお寺も、説法のプロになるために入った研究期間のツテです。
しかも、研修期間の主任の息子さんが勤めている大きなお寺で勤めることになりました。
惜しくも、コロナが原因で解雇になりましたが、現在は民間企業の営業職に就き、メンバー管理をしています。
まとめ
この記事では、お坊さんの年収や昇給方法、就職先の見つけ方などを紹介しました。
僕自身も、お寺の出身ではないため、いくら給料をもらえるのか不安でした。
外車を乗り回しているお坊さんも、実際のところいますが、そこまで高収入を得ているのは、ごく一部です。
通っているお寺や近所のお寺に駐車されている車を見ると、お寺の収入が何となくわかるかも知れません。
チェックしてみてください。
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